読後感

2013年10月 6日 (日)

山本一力著「千両かんばん」読了

山本一力著「千両かんばん」読了。
8月の中旬、図書館に予約した時は35番待ちだった。ようやく私の番が回ってきた昨日、早速借りて読み始め、先ほど読了。
多くの一力作品同様、江戸・深川を舞台にした市井に生きる庶民が描かれている。ここ最近、職人をテーマとした作品が多く、今回も同じく「飾り行灯職人」。職人・武市、彼に関わる様々な職人や店の主、棟梁、江戸屋女将・秀弥。
作品に横たわるものはと言えば、人と人との関わりか。事を成すに、一人では先行かないことばかりで、関わる人の助けが絡んで、成就することの如何に多いことか。そのことを再確認する思いで最後の頁を読み終えた。
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2013年9月22日 (日)

TVドラマ「半澤直樹」、最終回の夜

記録的視聴率を叩きだしたTVドラマ「半澤直樹」も、今夜が最終回である。
お昼には2時間半の「半澤直樹」ダイジェスト版をも放送し、最終回への視聴を煽る。現代の企業と組織を背景に、虚実織り交ぜながらも、毎回見せ場を作る。
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このドラマを見ていて、「あ、これは歌舞伎の現代版だ」と感じさせる。半澤直樹役の堺雅人、下から睨みつける怨念に満ちた目に、歌舞伎の「向こうを張る」目線と同類のものを、大和田常務役の香川照之や中野渡頭取役の北大路欣也等の「目に物」を言わせる芝居は全て、歌舞伎役者の演じ方ではないか。
時代劇にある勧善懲悪を、現代劇に取り入れた今回の作品。見ていて最後にスカッとさせるところなぞ、まさに時代劇そのものである。
日本人の奥底に横たわる感情、悪を制す正義。場合によっては悪よりも毒のある正義。解消されない日常のストレスを、このドラマに払拭させる役割を、視聴者の多くは求めてはいないか。その集積が瞬間視聴率40%超えを記録したのではないだろうか。最終回の今夜、如何程の視聴率を記録するであろう、それもまた楽しみである。

写真ブログ「福岡タワーとの対話」(http://blog.goo.ne.jp/chimao_fuku)も見てねー!

2013年9月21日 (土)

鬼平と中秋の名月

過日の9月18日は「中秋の名月」、3年連続で満月の中秋となった。
退社時、博多駅に向かう途中の橋(御笠川)の上で振り返ると、まさに天空へ昇らんとする月を捉えた。
Img_0610 左に勤務先のビル、まるで不夜城の観である(事実、夜遅くまで皆、働いている。体壊さないでねー)。
川面に揺らめくビルの照明、彼方に満月。iPhone4S手持ち撮影だが、ブレなくて良かった。

さて、鬼平犯科帳である。
遂に最終巻(24巻)読了である。
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5月28日に第1巻ダウンロード後、ハイペースで全24巻読了、結構なペースである。従来のような(紙の書籍)読書ではあり得ないペースは、専用リーダーを利用した電子書籍に依ることが大きいのではないか。ベッドサイドの照明は不要、文字サイズも行間も変えられるツールの便利さ。これが全てではないのか。

鬼平犯科帳最終はいきなりやって来た。まさに、いきなりって感じ。

その最終巻・最終ページがこれだ。これで幕引きである。鬼平がどうなるこうなるも無く、登場人物の去就も定かでなく、まさに、いきなり終わった。

Img_0614 最終巻まで読み進んだ読者ならば、多かれ少なかれ同様の印象をお持ちではないだろうか。

このような終わり方ののちに、ゴーストライターに続編を、という声が上がったらしい。しかし、諸般の事情でそれは為されなかった。或る意味、正解だろう。ここまで読み進んだ読者にとって、池波正太郎の筆に依らない「鬼平」は鬼平に非ずだから。後は読者の想像に任せることが正解ではないか。当方はそう思う。

いずれにしろ、鬼平読了である。電子書籍ユーザーとしてこの長編物は低コストで、便利さを享受できたことが嬉しい。今後更に諸書物の電子化が進むことを期待したい。特に「山本一力」モノ、もっと電子化してほしい!安くね!

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2013年9月 2日 (月)

やられたら倍返し!「半澤直樹三部作」読了す

やられたら倍返し、十倍返し。。。もはやトレンドになりつつある。「クソ上司め、覚えていやがれ!」
痛快現代版時代劇だ。勧善懲悪、平成の鬼平犯科帳か?
異例の視聴率を更新するドラマの原作をこの週末、一気読みした。
「オレたちバブル入行組」
Index「オレたち花のバブル組」
Index0そして、未ドラマ化の
「ロスジェネの逆襲」
Index1 すべて、Kindle版。
ドラマ放送済の「オレたちバブル入行組」、現在放送中の「オレたち花のバブル組」。そしてドラマ化してほしい「ロスジェネの逆襲」。放送を楽しみにされる方も多いことから、アラスジについてのコメントは控えよう。久々に一気読みしてしまうほど、ハイテンポで進んで行く。この作家の作品は今回が初めてだが、元銀行員という作者、ストーリー展開のキモをよく押さえている。原作とドラマでは微妙に違う場面もあるが、原作を基にしてドラマ用に脚色するのでそれも嫌味にならない程度であれば、いいかな。本筋を外していないし、むしろ盛り上げる効果が高い。それが狙いなのだろうが。
この本はおすすめである。愛用のKindle paperwhiteに入っているのでいつでも読み返せるし。便利な世の中です。

2013年5月18日 (土)

山本一力著「五二屋傳藏」読了す

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山本一力著「五二屋傳藏」読了。

図書館予約後ひと月ほど待たされた甲斐があった山本一力作品新刊、私の好きな江戸市井モノである。特に下町・深川界隈か。

日頃の面々は取り敢えず舞台のソデに控え今回の作品、てきや・水晴れ組若い者頭、傳藏初登場である。縁ある人の急逝で五二屋(ぐにや、質屋)伊勢屋当主となった傳藏と伊勢屋襲撃を画策する賊一味との知恵比べも面白い。嘉永六年(1853)6月、ペリー提督率いる黒船艦隊の放つ空砲に開国を迫られ右往左往の幕府。そんな時代背景に物語は展開する。


一件落着の読後感は星3+(ちょっと甘めかな)。筆慣れた感じの時代・場所・人の動き等々、やはりこの著者には似合いの時代物である。

 

2013年4月28日 (日)

山本一力著「いかずち切り」再々読

山本一力著「いかずち切り」再々読する。
280 この作品の見せ場が次の箇所であろう。すなわち、 「喉元過ぎれば熱さを忘れるというが熱さを忘れた連中に、喉がやけどを負いそうになっていたころを思い出させる。それがおれの稼業の証文買いだ」

解説でも記されているが歌舞伎で言う「見栄」の場面だ。

市井ものを多く手がける山本作品の常連、札差の伊勢屋四郎左衛門が証文買いの「いかずちの弦蔵」に相談するが、それはおのれの利益ごとにではなく、札差相手にひそかに進行する大掛かりな騙りを懸念する。江戸と大坂・堂島を舞台として、幕府のコメ空売り50万両に一口乗らないかという詐欺に、伊勢屋に次ぐ身代の和泉屋喜平次がまんまと乗せられ、身ぐるみ剥がされるほどの金高、5万両を取り返すという筋書きである。当時の江戸〜大坂間のカネのやり取りで両替商が構築した為替小切手の仕組み、江戸・大坂間の距離を飛脚と千石船とで競う場面など、興味深いものがある。

一力作品に見られる江戸市井の文化と生業、それの裏と表にある人々の生き様は或る面で現代と重なることも多い。常日頃一力作品に感心させられるのが、それら人々の姿を正面から捉えた筆致に、重ねられた調査結果を十分に感じることが出来る。恐らく現実の生活面で東京・江戸下町の庶民の中で息づいておられるのではなかろうかと推察する。今後の活躍を更に期待するものである。

2013年3月14日 (木)

この本を読む。「窓際OL 人事考課でガケっぷち」

一気に読み上げれるリズム感がある。歌人・斎藤茂吉の孫として、はたまた作家・北杜夫の娘としての血統を継ぐ作者の筆致に、会社員ならばこその共感に出会う。週刊誌連載の作者は、同時に企業のOLでもある。多少、年季の入ったOLのようだが社内の人間模様への観察眼はさすがと言えよう。作家のDNAとでも言おうか、リズミカルな文章に気負いも感じられなく、好感が持てる。シリーズのようで、他の作品への期待も高まる。理屈抜きで気楽に読める一冊であった。
51dlgo96ewl_sl500_aa300_ 斉藤由香著「窓際OL 人事考課でガケっぷち」新潮文庫

2012年9月 1日 (土)

山本一力著「あかね空」再読


数珠がずれて、手首のアザがはっきり見えた。焦げ臭い匂いを残して証文が燃え尽きた。

「うちらを相手に、銭やら知恵やら力比べをするのは、よした方がいいぜ」伝蔵がおきみに笑いかけた。凄みを消した、きれいな笑いだった.

堅気衆がおれたちに勝てるたったひとつの道は、身内が固まることよ。壊れるときは、かならず内側から壊れるもんだ。身内のなかが脆けりゃあ、ひとたまりもねえぜ

伝蔵は障子をきちんと閉めて出ていった。残された五人は、燃えかすの残った茶碗に見入っていた。

<文中より>

山本一力著 「あかね空」約10年ぶりに再読。著者は、渡世人の親分・伝蔵の言葉を借りて本書のキモを語っている、と思う。10年前は気付かなかった箇所だ。著者はこの作品で直木賞を受賞しその後、作品を量産している。クラシック音楽で同じ作品を改めて聴き直したりと同様に、再読は、感じなかったこと、見えなかった場面が見えるようになる。その時その時の精神的な状況が多分に左右するのだろう。

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2012年2月15日 (水)

「たまゆらに」読後感

作品全体がリピート(趣旨が同じで何度も繰り返え)して、なかなか核心に進めず「イラつくな」と感じさせたが、どんでん返し的要素をはらんだフィニッシュでまあよしとしておこうかと, 思った。何が言いたかったかは読者諸兄に中身を読み体感してほしいと思う。

ちなみにタイトルの「たまゆら(玉響)は、勾玉同士が触れ合ってたてる微かな音のこと。転じて、「ほんのしばらくの間」「一瞬」、あるいは「かすか」を意味する古語。ただし『日葡辞書』には「草などに露の置く様」とある(Wiki)」。この本のタイトルが如何様な意味をなすのか、当方のけだるい脳みそでは答が見いだせ仕舞だった。

主人公・女棒手振りの朋乃が海辺橋上で拾った財布の中身五十両。
日本銀行金融研究所貨幣博物館のサイトによると、元文期を基準として賃金で1両=30~40万円、そば代金では1両=12~13万円、米量価では1両=約4万円、に相当するとの事である(Wiki)ように、時代により貨幣価値に差があるが、二百万円〜二千万円なのであろう。いずれにしても、朋乃が財布を届け出た先の自身番小屋では金高を見て目を剥くというような表現であるから、如何ほどかの額であったか想像したい。

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一力作品には江戸市井の暮らしや人の生業がライブで描かれてい、生き生きとした様子のペンタッチこそが、作品を読み進むエネルギーに昇華されている。読者を読み進ませる技術が光るのだ。であるが故に、本作品の全編に横たわるリピート筆致はちと、従来のエネルギーが不完全燃焼していると言っても致し方ないか。一力もの愛読の当方としては、誠に残念な思いを抱かせた読後感であった。

2012年2月 7日 (火)

「大川わたり」再読

山本一力著「大川わたり」再読す。
一力ものを読み始めた頃だから、4年前か。あらすじは憶えていたが読み直しが細部を再現してくれた。
一力さんによると「生まれて初めて書いた長編“大川わたり”には、格別の愛着も思い入れもあります。わたしの時代小説の出発点は、まぎれもなくこの一作です」とある。
初めての長編にしては読ませます。凡庸でない作者の技能であろうか。その後の活躍はご存知の通りである。量産に近い作品の創出、おそらく池波氏を凌駕する勢いではなかろうか。今後も作者の筆致に期待したい。

51qnsaytmfl_sl500_aa300_追記:嬉しいことにこのほど山本氏も、facebookを始めたらしい。

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