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2013年4月28日 (日)

山本一力著「いかずち切り」再々読

山本一力著「いかずち切り」再々読する。
280 この作品の見せ場が次の箇所であろう。すなわち、 「喉元過ぎれば熱さを忘れるというが熱さを忘れた連中に、喉がやけどを負いそうになっていたころを思い出させる。それがおれの稼業の証文買いだ」

解説でも記されているが歌舞伎で言う「見栄」の場面だ。

市井ものを多く手がける山本作品の常連、札差の伊勢屋四郎左衛門が証文買いの「いかずちの弦蔵」に相談するが、それはおのれの利益ごとにではなく、札差相手にひそかに進行する大掛かりな騙りを懸念する。江戸と大坂・堂島を舞台として、幕府のコメ空売り50万両に一口乗らないかという詐欺に、伊勢屋に次ぐ身代の和泉屋喜平次がまんまと乗せられ、身ぐるみ剥がされるほどの金高、5万両を取り返すという筋書きである。当時の江戸〜大坂間のカネのやり取りで両替商が構築した為替小切手の仕組み、江戸・大坂間の距離を飛脚と千石船とで競う場面など、興味深いものがある。

一力作品に見られる江戸市井の文化と生業、それの裏と表にある人々の生き様は或る面で現代と重なることも多い。常日頃一力作品に感心させられるのが、それら人々の姿を正面から捉えた筆致に、重ねられた調査結果を十分に感じることが出来る。恐らく現実の生活面で東京・江戸下町の庶民の中で息づいておられるのではなかろうかと推察する。今後の活躍を更に期待するものである。

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